
キャンピングカーにするミニバンは、日常の移動からアウトドアや車中泊まで幅広く活躍できる万能な選択肢です。広い室内空間や多彩なシートアレンジ、そして燃費性能の良さが魅力であり、家族旅行や長距離ドライブにも適しています。
本記事では、キャンピングカーにするミニバンの定義や特徴、価格帯や人気のベース車種、選び方のポイントまでをわかりやすく解説し、自分に合った一台を見つけるための情報をお届けします。
ポイント
- キャンピングカーにするミニバンの特徴と魅力が理解できる
- 新車と中古の価格帯や費用の違いを知ることができる
- 人気のベース車種やフルフラット対応モデルがわかる
- 購入時や改造時に注意すべきポイントを理解できる
キャンピングカーとしてのミニバンの価格帯と人気車種

- ミニバンとは?その定義と基本的な特徴
- ミニバンキャンピングカーの価格帯:新車と中古の目安
- キャンピングカーベースとしてよく使われるミニバン主要車種
- おすすめのミニバンキャンピングカーモデル
- ノア・ヴォクシーベースのMRシリーズ
- セレナベースのラクネルステイ・スイート
- ホワイトハウスキャンパー「ステップワゴン デッキワン」
- 欧州ミニバンベースのキャンピングカー
ミニバンとは?その定義と基本的な特徴
ミニバンは、多人数での乗車や多目的な利用を目的として設計された、乗用車ベースの自動車です。日本では、トヨタのアルファードや日産のセレナ、ホンダのオデッセイなど、中型から大型のMPV(Multi-Purpose Vehicle:多目的車)を指すことが多く、その広い室内空間と高い利便性から多くの人々に選ばれています。
ミニバンには、共通して以下のような特徴があります。
広い室内空間と多人数乗車
ミニバンは一般的に、3列シートを備え、6人から8人程度の多人数が快適に乗車できるように設計されています。セダンやステーションワゴンに比べて全高が高く、エンジン部分を短くして居住空間を最大化する「キャブフォワード」デザインが採用されているため、車両の全長に対する室内の割合が非常に大きくなっています。
利便性を高める装備
後席にはスライドドアが採用されているのが大きな特徴です。これにより、狭い駐車場でもドアの開閉がしやすく、子どもやお年寄りの乗り降り、大きな荷物の出し入れもスムーズに行えます。運転席と助手席は通常通りヒンジドアです。
2列目や3列目のシートは、格納や折り畳み、取り外しが可能なモデルが多いため、乗る人数や荷物の量に応じて自由に室内空間をアレンジできます。これにより、日常の買い物から旅行、車中泊まで、さまざまな用途に対応できます。
ミニバンはセダンやSUVと同じモノコック(ユニボディ)構造の乗用車がベースとなっているため、商用バンに比べて乗り心地が良く、静粛性も高いのが特徴です。長距離の移動でも疲れにくい快適な乗り心地を提供します。
ミニバンの名称の由来と分類
「ミニバン」という名称は、アメリカで大型のフルサイズバンと比較して「ミニ(小さい)」ことから名付けられたとされています。日本では、そのサイズによって以下のように分類されることがあります。
- Lクラス(大型)ミニバン
全長が4,900mmを超え、内装の豪華さや静粛性が特徴で、「高級ミニバン」とも呼ばれます。代表的な車種には、トヨタ アルファード/ヴェルファイア、日産 エルグランドなどがあります。 - Mクラス(中型)ミニバン
全長は4,600〜4,700mm程度で、日常使いとレジャーのバランスに優れています。代表的な車種には、トヨタ ノア/ヴォクシー、日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンなどがあります。 - コンパクトミニバン
全長は4,200〜4,300mm程度で、運転のしやすさや燃費の良さが魅力です。代表的な車種には、ホンダ フリード、トヨタ シエンタなどがあります。
SUVや商用バンとの違い
ミニバンとよく比較される車種にSUVや商用バンがあります。
- SUVとの違い
SUVは悪路走破性を重視しているため、最低地上高が高く設定されています。一方ミニバンは、乗り降りのしやすさや室内空間の広さを最優先しているため、SUVよりも最低地上高が低い傾向にあります。 - 商用バンとの違い
商用バン(ハイエースやキャラバンなど)は、積載量を重視した頑丈なはしご型フレームを持つ車種が多く、商用車として設計されています。一方ミニバンは乗用車がベースであるため、乗り心地や静粛性、内装の質感が優れています。
広い室内空間と日常での使いやすさから、ミニバンはキャンピングカーに改造するためのベース車両としても非常に人気が高いです。
ミニバンキャンピングカーの価格帯:新車と中古の目安
ミニバンをベースにしたキャンピングカーの価格は、新車か中古車か、ベース車両の種類や架装内容によって大きく変わります。ここでは、新車・中古それぞれの目安価格と、価格を左右するポイントを整理します。
新車の場合
新車のミニバンに架装を施すと、価格はおおよそ300万円~1,500万円以上と幅広いです。車格ごとの目安は以下の通りです。
- コンパクトミニバン(例:シエンタ、フリード)
400万~550万円前後。ポップアップルーフ装備で500万円超になることも。 - ミドルサイズミニバン(例:ノア/ヴォクシー、セレナ、ステップワゴン、デリカD:5)
500万~800万円前後。最も需要が多く、装備内容によって価格差が大きい。 - ラージサイズミニバン(例:アルファード/ヴェルファイア、エルグランド)
700万~1,000万円以上。豪華内装や大型設備で高価格帯を形成。
中古の場合
中古のミニバンキャンピングカーは約80万~900万円程度。年式・走行距離・架装内容で価格が大きく変わります。
- 古いモデル・簡易架装(年式10年以上、走行10万km超):80万~350万円程度。
- 比較的新しいモデル(5~10年落ち、走行5~10万km):350万~600万円程度。ポップアップルーフ付きも含む。
- 高年式・低走行(3~5年落ち、走行5万km未満):600万~700万円以上。人気車種は高値傾向。
価格を左右する要因
- ベース車両の種類:ハイブリッドや4WDはガソリン車より30~100万円程度高額。
- 架装内容:ポップアップルーフは+100万円以上、サブバッテリー・キッチン設備・内装素材などでも価格差が出る。
- ビルダーのブランド:有名ビルダー製は品質やサービスが充実する分、価格も高め。
- 車両の状態:年式・走行距離・内外装のコンディションで価格が変動。
予算別の選び方
- 200万円以内:中古ミニバン+簡易DIY改造が現実的。
- 200~400万円:中古キャンピングカーや、新車+軽度の改造。
- 400万円以上:新車キャンピング仕様や本格的なオーダーメイドも視野に。
購入の際は「利用人数」「旅のスタイル」「日常使いとの両立」「予算」を整理することが大切です。中古車サイトやキャンピングカーショーで実車を確認すると失敗が少なくなります。大規模改造を行う場合は構造変更申請が必要になる点にも注意しましょう。
キャンピングカーベースとしてよく使われるミニバン主要車種
ミニバンは、日常使いとの両立のしやすさ、取り回しの良さ、そして十分な広さを確保できる点から、キャンピングカーのベース車両として非常に人気が高いカテゴリーです。ここでは、キャンピングカーへの架装によく使われる主要なミニバン車種とその特徴について解説します。
ラージサイズミニバン(高級志向・ゆとりの空間)
- トヨタ アルファード / ヴェルファイア:高級ミニバンの代表格。広大な室内と豪華内装が魅力。フルフラット化が容易で大人が快適に就寝可能。ハイブリッドは静粛性・燃費に優れる(約19.4km/L)。
- 日産 エルグランド:2列目の快適性が特徴。床下や荷物スペースの活用で改造自由度も高い。
ミドルサイズミニバン(バランスの取れた万能タイプ)
- トヨタ ノア / ヴォクシー:燃費性能に優れ、室内をフラットに展開しやすい。ポップアップルーフとの相性も良好。
- 日産 セレナ:プロパイロット搭載モデルがあり長距離移動に便利。e-POWERは燃費・静粛性に優れる。
- ホンダ ステップワゴン:低床設計で車内移動が楽。マジックシートで多彩なレイアウトが可能。1500W電源付きモデルもあり。
コンパクトミニバン(手軽さ・燃費重視)
- トヨタ シエンタ:5ナンバーサイズで運転しやすく、ハイブリッドは燃費に優れる。シート格納でフラット空間を作りやすい。
- ホンダ フリード:運転しやすく、フリード+は完全フラットな床を確保可能。初心者にもおすすめ。
ユニークなミニバン(悪路走破性・タフネス志向)
- 三菱 デリカ D:5:唯一無二の本格4WD性能を備えるミニバン。最低地上高約195mmで雪道や未舗装路も走行可能。ディーゼルのトルクも魅力。
欧州系公式キャンパー
- メルセデス・ベンツ Vクラス マルコポーロ
- フォルクスワーゲン カリフォルニア / マルチバン
いずれもポップアップルーフや折り畳みベッド、キッチンを備え、日本円で約900万〜1,500万円程度が目安。
ミニバンをベースにしたキャンピングカーを選ぶ際は、利用人数やスタイル、日常使いとの両立を考え、実車を確認して検討することが大切です。
おすすめのミニバンキャンピングカーモデル
ミニバンは、日常使いとの両立のしやすさ、取り回しの良さ、そして居住空間として十分な広さを確保できる点から、キャンピングカーのベース車両として非常に人気が高いカテゴリーです。ここでは、特におすすめのミニバンキャンピングカーモデルとその特徴、どのようなユーザーに適しているかについて解説します。
トヨタ ノア / ヴォクシー
ノア/ヴォクシーは、ファミリー向けで使い勝手が良く、燃費性能に優れたハイブリッド車が多いのが特徴です。取り回しの良さと使い勝手の良さから、車中泊や簡易的なキャンプを楽しむためのベース車両として人気があります。
- ホワイトハウスキャンパー「ノア/ヴォクシー デイズ」: 新型90系NOAH/VOXYベース。ポップアップルーフで大人2名が寝られるロフトと広い室内空間を提供。回転シートでリビング、フラットクッションでベッド展開が可能。充実した電装系オプションが選択でき、3ナンバー乗用車登録です。車両本体価格は3,308,000円(税込)〜。
- Van Revo「MR トヨタ ノア/ヴォクシー」: 薄型180Wソーラーパネルと高出力インバーター、FFヒーター(高地仕様)シャワーフォーセット付シンクを搭載し、フルフラットベッド展開や車外利用可能なテーブルが特徴です。価格についてはお問い合わせください。
- Van Revo「MR-S トヨタ ノア/ヴォクシー」: MRのシンプル構成仕様。MR同様のフルフラットなベッド展開ができる他、オプションでジュニア&ペット用マットを設定。価格についてはお問い合わせください。
ノア/ヴォクシーベースのキャンピングカーは、品質と快適性を重視したい人、大手メーカーの安心感を求める人、コストを抑えつつミニバンキャンピングカーを体験したい人におすすめです。
日産 セレナ
セレナは、日常使いとレジャーのバランスが良いモデルです。プロパイロット(運転支援)やe-POWERモデルが選べるため、長距離移動や静粛性を重視するユーザーに適しています。
- 日産モータースポーツ&カスタマイズ「セレナ マルチベッド」: シートアレンジでベッド展開ができる純正ライクなモデル。車両本体価格は3,559,600円(税込)〜。
- 日産ピーズフィールドクラフト「P-SV」: P-SVは、『ポップルーフ・スリーピングバージョン』の意味。人気のセレナにポップアップルーフ「天空部屋」とアンダーベッドで、家族4人がゆったり就寝できる広い居住空間が特徴です。車両本体価格は3,729,000 円(税込)〜。
- ラクネル「ラクネルステイ・スイート」: セレナベースならではの快適な走りと広々空間を両立し、独自の3Dアルミフレーム構造で収納力と充実したキャンパー設備を実現。車両本体価格は 3,919,200円(税込)〜。
- Van Revo「MR-Sセレナ e-POWER」: 日産セレナ(C28型)をベースとした車中泊仕様車です。5名乗車・2名就寝に対応し、エンジンはガソリン2000ccまたはe-POWER(モーター+ガソリン1400cc)から選択可能。シンク付き仕様や充実した電装システムを搭載し、FFヒーターやフレキシブルソーラーパネルもオプションで追加できます。価格についてはお問い合わせください。
- キャンピングカーフレンドリー「セレナ クレイドル」: 中古のC26セレナなどをベースにすることで購入しやすい価格を実現。キャンピングカーのノウハウを活かした平らなフルベッドと、天井・壁面まで断熱加工を施し快適な車中泊を提供します。デモカーの価格は155万円(税込)で、価格は年式や走行距離によって変動します。
セレナベースのキャンピングカーは、e-POWERで快適な車中泊を楽しみたいファミリー層や、日常とレジャーの好バランスを求める人におすすめです。
ホンダ ステップワゴン
ステップワゴンは、乗用車ベースで乗り心地が良く、低床設計で車内の移動が容易です。「マジックシート」と呼ばれる可変式シートはレイアウトの自由度が高く、ベッド化が簡単です。
- Honda Cars 神奈川中オリジナル「ラクネルステップワゴン」: ベッドとテーブル標準装備のシンプルキャンパーで、普段は5人乗りミニバンとして日常使いも可能。Honda SENSING搭載で安心安全なバンライフを提供します。車両本体価格は3,801,600円(税込)〜。
- ホワイトハウスキャンパー「ステップワゴン デッキワン」: 新型ベース車でリニューアルし、フルフラットベッドやギャレーを装備。大人2名就寝可能なポップアップルーフをオプションで選択できます。車両本体価格は3,986,400円(税込)〜。
- ロッキー2(マウンテンビレッジ)「ステップワゴンMV」: 大人2名がゆったり眠れるクラス最大級ベッドと、対面ダイネットが特徴です。ルーフエアコンやFFヒーターはオプションで追加可能です。車両本体価格は4,620,000円(税込)〜。
- Stage21「リゾートデュオ ステルスキャンパー」:中古ステップワゴンを活用し、低価格化と短納期を実現。外観はノーマルで、ルーフエアコンと100Ahリン酸鉄バッテリーが標準装備されています。車両本体価格は2,189,000円(税込)〜。
ステップワゴンベースのキャンピングカーは、品質と快適性を重視したい人や、手軽に車中泊を楽しみたいファミリー層、週末キャンパーに特におすすめです。
三菱 デリカ D:5
デリカD:5は、ミニバンでありながら本格的な4WD性能を持つ、ユニークな存在です。アウトドアや未舗装路、雪道での走行も可能なため、自然の中でのアクティビティを求めるユーザーに最適です。
- MDF EQUIPMENT「D:POP」: ポップアップルーフが特徴で、最大大人4名が就寝可能。普段使いから車中泊、災害時のシェルターとしても活躍し、全高1.99mで立体駐車場も利用できます。車両本体価格は5,432,900円(税込)〜。
- ロッキー2(マウンテンビレッジ)「デリカMV」: 大人2人がゆったり眠れるクラス最大級のベッドスペースが魅力。多彩なシートアレンジが可能で、サブバッテリーやインバーターなどの充実した車中泊装備を提供します。車両本体価格は5,450,000円(税込)〜。
三菱 デリカ D:5用キャンピングカーキット
- グランドモーター「 Dキャンパー 」: 日常使いとキャンピングを両立するコンセプト。家具やマットの色を自由に選べるセミオーダーが可能で、大型ベッドやシンクなど充実した標準装備を備えています。新車・中古車・既存のデリカD:5に搭載できます。フルキットの販売価格は取り付け工賃込みで1,078,000円(税込)からとなります。
デリカD:5ベースのキャンピングカーは、悪路走行や自然の中でのアクティビティが多い人、タフな見た目と走破性を求めるアウトドア派に最適な選択肢です。
トヨタ シエンタ
シエンタはコンパクトミニバンに分類され、5ナンバーサイズで運転しやすく、狭い道や駐車場での取り回しが楽です。手軽に車中泊を楽しみたいソロキャンパーやカップルにおすすめです。
- PaPa BUILD/Car Trade アールエス「F-BOX CURIO」: シエンタベースのキャンピングカー。定員5名・就寝2名、大人2人がゆったり車中泊可能。普段使いにも便利です。車両持込み架装にも対応。車両価格は1,950,000円〜。
- トヨタ自動車「シエンタ “JUNO” 」:トヨタ純正の特別仕様車「シエンタ JUNO」は、落ち着いた内装と快適装備が魅力。日常から車中泊やアウトドアまで、キャンパー仕様のように楽しめるミニバンです。。車両価格は3,654,200円〜。
シエンタ用ルームキット
- YURT「VANLIFE ROOMKIT」: シエンタ専用ルームキット。日常使いと車中泊を両立し、4モード切替で大人2名が就寝可能。脱着容易で車体無加工です。キット価格は税込599,500円〜。
ホンダ フリード
シエンタと同様にコンパクトミニバンであり、運転しやすく燃費も良好です。シートアレンジも工夫次第でベッド化しやすい構造で、簡易的なベッドキットなどを設置するケースが多いです。
- ホワイトハウスキャンパー「スタイルアイディー フリードクロスター」: ベース車両はFREED CROSSTAR。ボディやシート、ポップアップルーフまでWEBでカスタマイズ可能で、自分だけのスタイルを楽しめます。価格は標準ルーフ3,583,800円〜、ポップアップルーフ4,127,200円〜(ガソリン車)。
- ロッキー2(マウンテンビレッジ)「フリードクロスター MV」: ホンダ フリード クロスターがベース車両。大人2人がゆったり眠れるクラス最大級のベッドスペースと、寛ぎの対面ダイネットが魅力です。車両本体価格は4,150,000円(税込)〜。
- ロッキー2(マウンテンビレッジ)「フリード+ MV」: 旧モデルのホンダFREED+をベースとし、車両持込での架装を承っています。対面対座ダイネットと大人2人がゆったり眠れるベッドスペース(全長1,800mm × 全幅1,270mm)が特徴です。車両持込のみ価格は問い合わせ。
FREED車中泊キット
- Honda Cars 神奈川中「 FREED車中泊キット」: FREED CROSSTAR、FREED+、FREED+ CROSSTARに対応。ベッドマット6枚とサイドテーブルがセットで、車内で対面展開やフロアに足を下ろしたままくつろげます。気軽に車中泊旅がしたい方におすすめです。キットの価格は489,500円〜。
フリードベースのキャンピングカーは、日常使いを優先し、たまに一人や二人で車中泊したい人や、自分で工夫してカスタマイズしたい人におすすめです。
ノア・ヴォクシーベースのMRシリーズ

「Mini van Revolution(MR)」は、株式会社バンテック新潟が手掛けるオリジナルキャンピングカーブランド「VanRevo」のモデルで、最新のミニバンであるトヨタ ノア/ヴォクシー(90系)をベースとしています。このシリーズには、高機能モデルの「MR」と、よりシンプルな「MR-S」が設定されています。
MR(高機能モデル)の特徴
MRは、夫婦二人旅にも適した大人二人が就寝できるスペースを備えた高機能モデルです。
快適な車中泊を支える電装系
MRは、車中泊を快適に過ごすための充実した電装系を備えています。180Wの薄型フレキシブルソーラーパネルとチャージコントローラーを装備しており、駐車中でもサブバッテリーを充電できます。これにより、ポータブル冷蔵庫など常時電気を必要とする機器の利用に便利です。また、車内でAC100Vを使用できる高出力2000Wインバーター(矩形波)も搭載しており、電子レンジもしっかりと稼働させることが可能です。バッテリーには105Ahディープサイクルバッテリーを採用し、ソーラーパネル、走行充電システム、外部AC100V充電器の3つの方法で最適な充電を行います。
便利なキッチンと収納
左側キャビネット上面には、シャワーフォーセット付シンクが設定されています。シャワーフォーセットは車外に引き出して、お子さんやペットの足を洗うなどの用途にも便利です。また、コンビニのお弁当を温められる18Lのビルトイン電子レンジも搭載しており、庫内がフラットでお手入れも簡単です。車内には、DC12V炊飯器や電気ケトルを収納できるスペースなど、各種収納も充実しています。
質の高い室内空間
セカンドシートの背もたれを倒し、専用のレベルクッションと薄く仕上げられたベッドマットを敷くだけで、簡単にフルフラットなベッド空間を作り出せます。室内を明るく照らすLED照明や、プライバシーを守るトヨタ純正遮光カーテンも標準装備です。さらに、カップフォルダー付テーブルは、就寝時の小物置きや車外でも利用できるなど、利便性を高めています。
寒い季節も安心のFFヒーター
断熱材がない車両でも、寒い季節に室内空間を快適に保つため、高地仕様のFFヒーターとタイマーコントローラー>が標準搭載されています。これにより、標高1,000m以上の高地でも安心して利用できます。

MR-S(シンプル仕様モデル)の特徴
MR-SはMRのシンプルな仕様でありながら、使いやすさを追求したモデルです。MRと同様にフルフラットなベッド展開が可能で、ベッドマットは収納時にかさばらないよう薄く仕上げられています。主要装備として、2000Wインバーター、室内LED照明、室内カーテンが標準で備わっています。サブバッテリーと充電システムも搭載されており、FFヒーターやソーラーパネルはオプション品として後から装着することも可能です。
ディスプレイオーディオPlus
MRおよびMR-Sのコンプリート販売車には、トヨタ純正メーカーオプションの大画面10.5型ディスプレイ「ディスプレイオーディオPlus」が特別装備されています。ナビゲーションシステムや各種メディア機能、バックガイドモニターなどが標準搭載されており、コネクティッドナビ(有料サービス)も初年度登録日から5年間は無料で利用できます。
セレナベースのラクネルステイ・スイート

「ラクネルステイ・スイート」は、人気のミニバンである日産セレナをベースに、快適な走行と車中泊を両立させたキャンピングモデルです。セレナの特徴であるプロパイロット機能やスライドドアのイージークローザーが移動のストレスを軽減します。さらに、メティオ独自の3Dアルミフレーム構造は、軽量でありながら高い収納性と車内の堅牢さを実現しています。
リムジンのようなゆとりある5人乗り
もともと8人乗りだったセレナをあえて5人乗りにすることで、車室中央部に広々とした空間を確保しました。これにより、まるでリムジンのような快適なくつろぎ空間が生まれています。就寝時には、頑丈なフレームとマットを組み合わせたフロアベッドを展開でき、寝返りを打っても安定した寝心地が得られます。
多彩なシートアレンジと高い実用性
ラクネルステイ・スイートは、旅のスタイルに合わせて柔軟に空間を演出できます。大人4〜5人がくつろげる対面ダイネットスタイルから、長さ1,920mm×幅1,270mmの広々としたフロアベッドを展開する睡眠モードまで対応します。
また、ベッドフレームや家具には軽量で頑丈な3Dアルミフレーム構造を採用しています。日常は5人乗りのミニバンとして使用でき、シートベルトも3点式を備えているため安心です。運転席後部のベンチ兼収納スペースには、ベッドマットやフレームをすっきりと収納できます。

充実した電装装備
電装ユニットはリアの床下に配置されており、ミニバンとしての使い勝手を損ないません。100Ahのサブバッテリーを搭載し、AC100Vコンセント、シガーソケット、USB電源も標準装備しています。さらに、CTEK走行充電システムや1,500W正弦波インバーター、外部電源コネクターなど、車中泊を快適にするための装備が充実しています。
ミニバンならではの便利な機能
サードシートを跳ね上げると、最長1,700mmの広々とした荷室が出現します。バックドアは、上部のハーフドアと全体のフルドアを使い分けられるデュアルバックドアを装備し、荷物の出し入れに便利です。また、リアシートを残したまま折りたたみ式車椅子を積載できるなど、ユーザーフレンドリーな設計も魅力です。
車両本体価格は 3,919,200円(税込)からとなります。
ホワイトハウスキャンパー「ステップワゴン デッキワン」

ホワイトハウスキャンパーが手掛ける「ステップワゴン デッキワン」は、ホンダの人気ミニバンであるステップワゴンをベースにしたキャンピングカーです。ベース車両のフルモデルチェンジ(新型RP6, RP7, RP8)に伴い、デッキワンもリニューアルされました。
快適なベッドと空間
車内には、寝転んだりくつろいだりできるフルフラットな快適マットの「ダイニング&フラットベッド」が装備されており、就寝定員は2名から4名です。スライドドアとリアゲートには虫除け対策としてモスキートネットが備わっています。オプションのポップアップルーフを上げれば、大人ふたりがゆったり横になれる広々としたベッドスペースが誕生し、ガスダンパーにより簡単に開閉できます。

充実した装備と価格
冬場の車中泊も快適に過ごせるエアヒーターも装備されています。キャンパータイプJOYでは、給排水タンク、電子レンジ、18L冷蔵庫を備えた室内ギャレーも利用できます。
乗車定員は6名から8名で、普段使いからレジャーまで幅広く対応します。価格は3,986,400円(税込)からで、これは標準ルーフのガソリン車の場合の参考価格です。ポップアップルーフ車は4,490,200円からとなります。
欧州ミニバンベースのキャンピングカー
欧州ミニバンベースのキャンピングカーは、その高い完成度、上質な内装、快適性から、キャンピングカー愛好家の間で特に高い評価を得ています。これらのモデルは、多くの場合、メーカーが公式に提供するキャンピングカー仕様(公式キャンパー)として、ベッド、キッチン、収納などが車両に統合されており、高い静粛性と断熱性も兼ね備えているのが特徴です。
Volkswagen California
フォルクスワーゲン カリフォルニアは、VWトランスポーター(Caravelle/Multivan)をベース車両とする、伝統的な「公式キャンパー」の代表格です。長年にわたる高い人気を誇り、ポップアップルーフ、折り畳みベッド、統合されたキッチンといった機能が洗練されています。アウトドア寄りの利用から、よりゆったりとした居住性を求める層まで、幅広いニーズに対応する選択肢が提供されています。新車価格の目安は約900万円から1,500万円程度、中古車であれば約300万円から900万円程度で取引されています。

Mercedes-Benz V-Class Marco Polo
メルセデス・ベンツ Vクラス マルコポーロは、Vクラスをベースにした高級ミニバンキャンピングカーです。上質な内装と高い快適性が特徴で、公式キャンパーとして床、ベッド、キッチンが車両に統合されています。断熱性や静粛性も高く、長距離の旅でも快適に過ごせる、高級志向のユーザーに適しています。座席の取り外しや再配置が比較的容易な点も魅力です。

その他の欧州ミニバンベースモデル
フォルクスワーゲンは、Multivan(マルチバン)をベースにしたキャンパーモデルも提供しており、こちらも高い内装の自由度や、分割可能なシート、フラット化しやすい床構成が特徴です。
これらの欧州ミニバンベースのキャンピングカーは、一般的に高い走行安定性と優れた乗り心地を持ち、長距離移動での疲労が少ないと評価されています。また、メーカーが手がける「公式キャンパー」は、改造車両に比べて品質やアフターサービスの面で安心感が高い傾向にあります。
キャンピングカーに適したミニバンの選択ポイントと注意点

- キャンピングカーとしてのミニバンのメリット
- ミニバンの主なデメリットと注意点
- 車中泊に適したミニバンの選び方とポイント
- フルフラットにできるミニバン
- ポップアップルーフやルーフテントによる空間拡張
- ミニバンキャンピングカーで実現する多様な旅のスタイル
キャンピングカーとしてのミニバンのメリット
キャンピングカーとしてのミニバンには、その特性から多岐にわたるメリットがあります。特に、日常使いとレジャーを両立できる点が最大の強みです。一台で家族の送迎や通勤をこなしつつ、週末や長期休暇には車中泊やキャンプに出かけられる、経済的かつ実用的な選択肢です。
日常使いと運転のしやすさ
ミニバンは乗用車ベースで設計されているため、普段の運転感覚で扱えます。全長や全幅は一般的な乗用車に近く、狭い道や立体駐車場でもスムーズに走行可能です。スライドドアを備えるモデルが多く、子どもやお年寄りでも安心して乗降できるのも魅力です。また、ベース車両が一般的なミニバンなので、整備や修理は通常の工場で対応でき、メンテナンス費用も抑えやすい傾向があります。
快適な走行性能と燃費性能
乗用車ベースならではの乗り心地や静粛性により、長距離移動も快適です。運転支援システムを搭載したモデルも多く、旅行時の疲労を軽減してくれます。さらに、車重が比較的軽いため燃費にも優れ、ハイブリッドモデルを選べばランニングコストを大幅に抑えられます。
例:トヨタ・ノアハイブリッド 23.4km/L、ホンダ・ステップワゴンe:HEV 20.6km/L
広い居住空間とシートアレンジの柔軟性
シートを折り畳んだり格納したりすることで、就寝スペースを確保できるのがミニバンの大きな利点です。ポップアップルーフを架装すれば、車内で立って過ごせる空間や追加の就寝スペースを得ることも可能です。また、回転式の2列目シートなどを活用すれば、車内を簡易リビングとして使うこともできます。
コストパフォーマンスと改造の自由度
本格的なキャンピングカーと比べて導入コストが安く、中古車市場も豊富です。簡易的な改造なら10万円台から可能で、折りたたみベッドや取り外し式キッチンなどを後付けでき、DIYが苦手な方でも始めやすいのが特徴です。
その他のメリット
ミニバンは普段使いとアウトドアを両立できるだけでなく、災害時の一時的な避難場所としても活用可能です。さらに一般的な乗用車としての需要が高いため、売却時のリセールバリューも期待できます。
ミニバンの主なデメリットと注意点
ミニバンは多人数での移動や多目的な利用に優れていますが、その特性ゆえにいくつかのデメリットや注意点があります。広い室内空間や利便性とのトレードオフとして理解しておくことが大切です。
走行性能と運動性能の限界
室内空間を優先する設計のため全高が高く、重心も高くなりがちです。これにより、カーブでは車体のロールが大きく、横風の影響も受けやすい傾向があります。また、車重が重いため加速やブレーキ性能が鈍くなりやすく、満載時は特に走行性能の低下が顕著です。後席の乗り心地も路面の凹凸を拾いやすく、セダンなどに比べて劣る場合があります。
悪路走破性の低さ
最低地上高が低いため、未舗装路や雪道、大きな段差での走破性は期待できません。アウトドア用途ではSUVに劣りますが、三菱デリカD:5のように例外的に高い4WD性能を備えるモデルも存在します。
取り回しや駐車の難しさ
3列シートを確保する関係で全長・全幅が大きく、ラージサイズのミニバンは狭い道や駐車場で扱いにくいことがあります。さらに多くの立体駐車場には全高制限(1,550mm)があり、入庫できない車種も少なくありません。全長の長さから後方確認もしづらいですが、バックモニターやアラウンドビューモニターの普及によりある程度補われています。
コストと維持費
スライドドアや多人数乗車機構の影響で、同クラスのセダンやSUVより車両価格が高めに設定されることがあります。車重が重いため燃費も悪化しやすく、アルファード(ガソリンモデル)では10km/Lを下回ることもあります。ハイブリッドなら改善されますが、購入費用は高額になります。また、重量の影響でタイヤやブレーキなどの消耗が早まり、排気量が大きい車種では自動車税も高額になります。
居住空間と積載能力の限界
ワンボックスカーに比べて天井が低く、車内で立って過ごすのは難しい場合が多いです。さらに、シートを倒しても完全にフラットにならない車種が多く、就寝時の快適性に課題があります。3列目を使用すると荷室スペースが不足し、大型アウトドア用品は外部ラックが必要になるケースもあります。窓が大きいため断熱性や換気対策も欠かせません。例えばホンダ車は結露が起きやすい傾向がある一方、トヨタ車は比較的少ないとされます。
その他のデメリット
- デザインとイメージ:実用性を重視したデザインが多いため、スタイリッシュさやワイルドさを求める人には物足りない場合があります。
- 改造のリスク:アフターマーケットでの改造は費用を抑えられる反面、品質や保証に差があり注意が必要です。
- 法規制と地域差:車中泊や改造に関する規制は地域ごとに異なるため、事前の確認が欠かせません。
- 残価の低下:大型ミニバンは新車時の価値が下がりやすく、改造車は再販が難しくなることもあります。
車中泊に適したミニバンの選び方とポイント
車中泊に適したミニバンを選ぶ際は、どのような目的で、何人で、どのくらいの期間利用するか、そして予算を考慮することが重要です。日常使いとの両立のしやすさ、取り回しの良さ、そして居住空間としての十分な広さを確保できる点が、ミニバンがキャンピングカーのベース車両として人気を集める理由です。
車中泊に適したミニバンの共通ポイント
車中泊に適したミニバンを選ぶ上で、以下のような要素が重視されます。
- フラットな就寝スペース:2列目や3列目シートを格納・倒すことで、いかにフラットで広い寝床を確保できるか。ベッドキットやマットの選択肢も重要です。
- 室内高:車内で着替えたり座ったりする際の快適性に直結。ポップアップルーフを架装できる車種は停車時に室内高を大きく確保できます。
- シートアレンジの多様性:荷室拡大や対座モードなど、状況に応じた使い方が可能か。
- 走行性能と燃費:長距離移動の多い車中泊では、乗用車に近い乗り心地やハイブリッドの燃費性能が大きなメリット。
- 電装系の拡張性:サブバッテリーやインバーターを搭載しやすいか、シガーソケットや電源の数は十分か。
- アフターパーツの豊富さ:ベッドキット、シェード、網戸など車中泊用アイテムが市販されている車種は選びやすい。
ミドルサイズミニバン(バランスの取れた王道)
最も車中泊に適しているとされるカテゴリー。日常使いとレジャーの両立に優れ、初めてのキャンピングカーにも適しています。
- トヨタ ノア / ヴォクシー:室内空間が広く、シートアレンジでフラット空間を作りやすい。ハイブリッドは燃費・静粛性が良好。中古車流通も豊富でベッドキットやアクセサリーの選択肢が多い。
- 日産 セレナ:室内が広くシートアレンジも多彩。e-POWERは静粛性が高く夜間休憩時も安心。「デュアルバックドア」で狭い場所でも荷物の出し入れが容易。
- ホンダ ステップワゴン:室内高があり圧迫感が少ない。マジックシートでレイアウト自由度が高く、フラット化も容易。e:HEVは燃費も優秀。
おすすめ層: 初めて車中泊に挑戦する人、ファミリーやカップルでの利用を想定する人。
三菱 デリカ D:5(アウトドア派向け)
ミニバンでありながら本格4WD性能を備える唯一無二の存在。未舗装路や雪道などでも安心してアクセス可能。高剛性ボディと195mmの最低地上高を持ち、タフな外観も人気。ただし乗り心地は硬めで燃費は他車種に劣る傾向。
おすすめ層: キャンプ・釣り・登山など自然の中でのアクティビティが多い人、タフな見た目と走破性を求める人。
コンパクトミニバン(手軽さ・燃費重視)
普段使いがメインで、ときどきソロやカップルで車中泊を楽しみたい人に最適。
- トヨタ シエンタ:5ナンバーサイズで運転・駐車が容易。ハイブリッドは燃費に優れる。2・3列目格納で意外と広い空間を確保可能。
- ホンダ フリード / フリード+:コンパクトで運転しやすく、燃費も良好。シートアレンジでベッド化が可能。特にフリード+は完全フラットな床面が作れ、低床で室内高も確保できる。
おすすめ層: ソロキャンパーやカップル。日常の買い物や通勤に使いながら、週末に気軽な車中泊を楽しみたい人。
ラージサイズミニバン(快適性とゆとり重視)
豪華な装備と広大な室内が魅力。長距離移動の快適性を求める人に向いています。
- トヨタ アルファード / ヴェルファイア:セカンドシートが豪華で長距離でも快適。シートをフラット化しづらい場合もあるが、クッションやマットを用いれば広大な寝床を確保可能。静粛性が高く「移動する高級ホテル」とも評される。
おすすめ層: 快適性・高級感を最優先する人、大人数での長距離移動が多い人。
フルフラットにできるミニバン
快適な車中泊を実現するうえで、シートをどれだけフルフラットに近づけられるかは重要なポイントです。完全にフラット化できない車種も多いですが、フルフラット化しやすいモデルや市販キットを活用すれば、寝心地の良い空間を作り出すことが可能です。
フルフラット化に適した代表的な車種
- ホンダ ステップワゴン:かつての「マジックシート」や床下格納式3列目により広大で平坦な空間を実現。室内高もあり、就寝環境として優秀。
- ホンダ フリード+:完全フラットな床を作れる設計で、大人2人が快適に就寝可能。コンパクトながら車中泊専用設計といえる性能。
- トヨタ シエンタ:2列目・3列目の格納で比較的フラットに。ソロやカップルの車中泊に最適で、取り回しやすさも魅力。
- トヨタ ノア / ヴォクシー:シートアレンジでフラット化しやすく、市販のベッドキットやマットでさらに快適にできる。
- トヨタ アルファード / ヴェルファイア:広大な室内を活かしてフルフラット化が可能。ただし豪華シート仕様では工夫が必要。
- 日産 セレナ マルチベッド:純正ライクなベッドマットを展開でき、大人2人がゆったり就寝可能。水や汚れに強い素材も採用。
フルフラット化の工夫と注意点
完全なフラットが難しい車種でも、市販のベッドキットやインフレータブルマットで段差や凹凸を解消できます。合板を敷いて簡易的に床を平らにする方法も一般的です。また、大規模な常設ベッド改造は車検や構造変更申請が必要になる場合があるため注意が必要です。さらに、走行中にシートを倒して寝転がるのはシートベルト未着用となり、道交法違反にあたるため避けましょう。
ポップアップルーフやルーフテントによる空間拡張
車中泊の快適性を高めるために、室内空間を拡張する装備として有効なのがポップアップルーフやルーフテントです。どちらも就寝スペースを増やすだけでなく、居住性を大きく向上させる手段として広く利用されています。
ポップアップルーフ
ポップアップルーフは停車時に屋根を上方向へ展開し、車内の高さや就寝スペースを確保する装備です。走行中は閉じて通常のミニバンと同様の取り回しが可能で、停車時に立ち上がって着替えや作業ができる室内高を確保できます。多くのモデルでは上部に大人2名が就寝できるルーフベッドが備わり、家族やグループでの車中泊に有効です。また、キャンピングカー登録(8ナンバー)の条件である天井高160cm以上を満たす手段としても活用されます。
採用例はミドルサイズの ノア/ヴォクシー、セレナ、ステップワゴン が中心で、フリード や デリカD:5 への架装例もあります。主なビルダーはホワイトハウス、トイファクトリー、ナッツRV、ステージ21、ドリームエーティーなどが知られています。
一方で、雨風や強風など天候に左右されやすく、遮音性や断熱性は低めです。暑さや寒さには追加対策が必要で、サービスエリアや道の駅では目立つため利用を控える人もいます。車中泊禁止エリアでは注意が必要です。
ルーフテント
ルーフテントは車両の屋根に設置する折りたたみ式テントで、走行時はルーフボックスのように収納し、停車時に展開してベッドとして使用します。不要な時は取り外せるため、柔軟に使えるのがメリットです。展開時には大人2人が就寝でき、比較的安価に導入できる選択肢でもあります。純正オプションで対応する車種もあり、アルファードなど一部モデルではメーカーがルーフトップテント利用を想定しています。
ただし、装着すると全高が210cmを超える場合があり、立体駐車場の利用に制約が出ます。悪天候時は梯子での昇降や格納が手間になり、車内と直結していないため荷物の移動に手間がかかる点もデメリットです。
選び方のポイント
ポップアップルーフは「常時活用したい人」や「8ナンバー登録を検討する人」に向き、ルーフテントは「必要なときだけ追加したい人」や「コストを抑えたい人」に向いています。利用人数、予算、車中泊の場所(街中か自然環境か)、そして日常使いとの両立を踏まえて選択するのが賢明です。実際に展示車やレンタル車で試すことで、自分のスタイルに最適な方法を見つけられるでしょう。
ミニバンキャンピングカーで実現する多様な旅のスタイル
ミニバンキャンピングカーは、普段の生活から休日のアウトドア、長期の旅まで幅広いシーンに対応できる柔軟性を持っています。コンパクトで扱いやすいサイズ感と居住性を両立し、日常と非日常を繋ぐ「万能な旅の相棒」として活躍します。
日常と非日常を繋ぐ魅力
ミニバンをベースにしたキャンピングカー最大の魅力は、一台で日常とアウトドアの両立が可能な点です。平日は家族の送迎や買い物、通勤に活躍し、休日はそのまま車中泊やキャンプに出かけられます。本格的なキャンピングカーのようにセカンドカーを持つ必要がないため、経済的にも優れた選択肢です。
また、運転のしやすさも特徴です。乗用車感覚で運転できるため、初心者や女性ドライバーにも安心。狭い道やスーパーの駐車場、立体駐車場(ポップアップルーフを閉じれば)でも取り回しに困りにくい点が支持されています。さらに、ハイブリッドモデルを中心に燃費性能が高く、大型キャンピングカーと比べてランニングコストを抑えられます。乗用車ベースならではの静粛性と快適性も、長距離移動において大きなメリットです。
さらに、豊富なアフターパーツや専門ビルダーの架装モデルによって、好みに合わせて自由にカスタマイズできる点も魅力です。ベッドキットやサブバッテリーシステムなどを後付けすることで、自分仕様のキャンピングカーを作り上げることが可能です。
具体的な利用シーン
ミニバンキャンピングカーが活躍するシーンは多岐にわたります。
- ソロキャンプや夫婦での週末旅行:気軽に出発し、手軽に快適な車中泊を楽しめる。
- 子供連れのアウトドア:移動と宿泊が一体化しているため、荷物が多い家族キャンプや日帰りレジャーにも便利。
- 災害時の避難:有事の際にはプライベート空間を確保できる避難場所として機能し、安心感を与えてくれる。
- 長距離旅行や日本一周:宿泊施設に縛られず、思い立ったときに出発し、好きな場所で自由に滞在できる。
旅のスタイルに合わせた選び方と注意点
多様なスタイルを実現するには、自分の利用シーンに合ったミニバン選びが重要です。利用人数、日常使いの頻度、予算を踏まえ、「走行性能」「居住性」「燃費」「悪路走破性」など何を優先するかを整理しましょう。
特に重視すべきは以下のポイントです:
- シートを格納・倒して広い就寝スペースを確保できるか
- 車内で着替えたり座って過ごしたりできる室内高があるか
- サブバッテリーやインバーターなど電源確保のしやすさ
- 収納力と装備の充実度
購入時には、改造の内容によっては車検で構造変更申請が必要となる場合があるため注意が必要です。中古車を改造する場合は、断熱・防水処理の状態や改造の合法性を確認しておきましょう。最適な選択をするには、展示車で試し寝をしたり、レンタカーで実際に使ってみたりすることが大変有効です。
キャンピングカーにするミニバンの魅力と選び方:まとめ
記事のポイントをまとめます。
- ミニバンは多人数乗車と広い室内を備える
- スライドドアや柔軟なシートアレンジが強みである
- 乗用車ベースのため快適な乗り心地を提供する
- SUVや商用バンとは設計思想と用途が異なる
- キャンピングカーにすることで日常とレジャーを両立できる
- 新車は300万~1500万円以上と幅広い価格帯がある
- 中古車は80万~900万円まで幅広く流通している
- ベース車両の種類やグレードが価格を大きく左右する
- 有名ビルダーのモデルは品質と価格の両面で安定している
- ノアやセレナ、ステップワゴンは王道のベース車両である
- デリカD:5は悪路にも対応する独自のミニバンである
- シエンタやフリードは取り回しやすいコンパクトモデルである
- アルファードやヴェルファイアは高級感と快適性を兼ね備える
- フルフラット化のしやすさが車中泊の快適性を決定づける
- ポップアップルーフやルーフテントで空間を拡張できる